司法書士 幸津事務所 ～samurai-mom journal～

どういうわけかここ1週間で立て続けに「司法書士になりたい」という方々から連絡がありました。司法書士という職業にいいイメージをもってくださっていることは非常に嬉しいです。
でも、「何かアドバイスを…」を言われたら、迷わず「とりあえず会社を辞めないで」と答えます。私にご連絡くださった方々はそれぞれ有名な大手企業にお勤めです。私は企業に勤めた経験がないからか、会社勤めに憧れがあります。
二女を出産したときは分娩室でも仕事の電話をしていたくらいに、全く休むことができませんでした。あのときは心の底から育休・産休制度を羨ましいと思ったものです。会社員や公務員は守られていると感じました。
資格試験にチャレンジすることは反対しません。でも、環境の整った会社に在籍しているのであれば、たとえ育児中で多少周囲に迷惑をかけ、肩身が狭くても、正社員として働き続けるのが正解だと考えます。辞めるのはいつでもできるけど、再び同じ条件で働けるところを探すというのは難しいことが多いからです。組織の一員というのは息が詰まるようなこともあるかもしれませんが、その代償として定額の収入が保障され、法律で定められた権利を享受することができるのです。
「隣の芝生は青い」…ということなのでしょう。私は会社勤めも悪くないと思うし、会社員は自由業がいいと思う。試験勉強をしている頃は合格したら、どんなにラクになれるだろう…と思っていましたが、実は合格して初めてスタートラインにたてるだけで、開業ともなれば、収入は不安定で経費の心配が絶えません。開業したものの仕事がこない、やっぱり勤務しているほうが性に合う…と事務所を畳む人もいます。仕事に責任とやりがいを感じますが、それはどんな仕事であれ同じです。
士業にもデフレが進んでいます。世の中のイメージほど高収入でもなければ安定もしていません。苦労している士業の仲間がたくさんいます。司法書士の業務では、登記が年々減少しています。
資格取得を目指すこととその資格で独り立ちすることはイコールで考えないほうがいいというのが私のアドバイスです。
勉強したことは決して無駄にはなりません。努力できる自分に自信が持てるようになるでしょうし、専門知識も生活の中で役立つときがあるはずです。
仕事をしながら資格の勉強をすることは決して簡単ではありませんが、それでもあらゆる難関資格に働きながら合格している人がたくさんいらっしゃいます。仕事は辞めずに続けてください。
せっかくご連絡くださったのに、後ろ向きな発言を繰り返し、申し訳ない気持ちもありましたが、無責任な応援もできませんでした。
司法書士として独立開業することを勧めることができるよう私自身も日々研鑽・努力していきます！